キング・オブ・スカム20億ユーロ詐欺事件【netflix映画】あらすじ感想評価ネタバレなしキャスト。
- 2021/6/12
- 映画
- ドキュメンタリー映画, フランス
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『キング・オブ・スカム20億ユーロ詐欺事件』あらすじ
EU域内での二酸化炭素排出枠の取引制度を悪用した詐欺事件。巨万の富を手に入れた後に、仲間割れを起こした詐欺グループの興亡をたどるドキュメンタリー。 ・・・公式より
『キング・オブ・スカム20億ユーロ詐欺事件』感想
【あらすじ】
EU内で起こったフランス史上最大の脱税事件。企業が売買するCO2排出量に関するも詐欺は、制度の穴を悪用することで成り立つ極めて緻密に計算されたものでした。巨万の富を手に入れ、そして仲間割れの後に起こる詐欺グループの盛衰に迫るドキュメンタリー作品。
【感想】
皆さん、『VAT詐欺』という言葉をご存じでしょうか?VATつまりは付加価値税を利用した詐欺なのですが、私はこのキング・オブ・スカムを見るまでこの詐欺を知りませんでした。VAT詐欺について作品内で話してくれたのは、炭素市場の経済学で博士号をとった経済学者M・フルンツァ。キング・オブ・スカムではこのVAT詐欺が深く関わってきますので、簡単に説明します。
≪例≫
ベルギーで100ユーロの商品を購入してフランスへ運びます。この間、国境でのチェックはありません。ベルギーから持ち込んだ100ユーロの商品は、フランスでは20ユーロのVATを加算して120ユーロで売ることができます。VATの20ユーロはそのまま、詐欺師のポケットに入ります。
この説明を聞いて、最初に「なんだそのずさんな話は…」と感じるのは私だけではないはずです。そんなVATを利用して裏の仕事をしていたのはブレインという人物でした。ブレインは携帯電話を販売する事で”がっぽり”と稼いでいた頭脳派で、マルコはブレインからそのビジネスを学ぼうとしました。
2004年、マルコとブレインはこの携帯電話販売が原因で収監されてしまいますが、ブレインは刑務所の中で老人からある話を聞かされます。それが今回注目されている環境市場の話です。
グリーンランドの海面上昇に、温暖化による洪水や山火事。世界はこれに危機を感じていました。2012年までに温室効果ガスを5.2%削減することを目標に掲げた京都議定書により、人々が化石燃料の使用削減に意識を向けるよう考えたヨーロッパは『排出権市場』を開拓します。
しかし、これに『穴』があることを語るのは、先ほどのM・フルンツァ。その穴とは、市場参入手続きを単純にしたせいで誰でも簡単に会社を作り、そこで排出権の売買を始めることができてしまうこと。そして、この排出権市場にVAT処理機能を作ってしまったことです。
この排出権市場は2005年から試運転が始まりましたが、試しにブレインが3万ユーロで取引をしたところ数秒で3万ユーロ+VAT(6000ユーロ)の取引が完了。これを見たブレイン本人も、あまりに簡単すぎて「何か裏があるのではないか?」と疑ったそうです。
誰でも簡単に大金が稼げてしまうこの話は瞬く間に詐欺集団の間で話題になります。そこから始まるフランス史上最大の脱税ともいわれる巨額の詐欺計画。そして、詐欺集団の末路をご覧ください。
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