『ジョン・オブ・ゴッド』全4話の見どころ・第1話感想|霊媒医と告発の真相【Netflix】
『ジョン・オブ・ゴッド』は、ブラジルで「霊媒医」として知られたジョアン・テイシェイラ・ジ・ファリアの影響力と、彼に対する深刻な性的虐待の告発を追うNetflixの全4話ドキュメンタリーです。当時の治癒体験の証言と、それに続く被害者の証言を区別して観ることが重要な作品です。
内容に関する注意:性的暴行・虐待の証言、手術に似せた身体的な処置などが扱われます。作中の心霊治療は、医学的な有効性が確認された治療法ではありません。
作品情報と中心人物
- 原題:John of God: The Crimes of a Spiritual Healer
- 公開:2021年
- 話数:全4話
- ジャンル:ブラジルの実録犯罪ドキュメンタリー
- 中心人物:ジョアン・テイシェイラ・ジ・ファリア(「ジョン・オブ・ゴッド」と呼ばれた人物)
あらすじ:人々の希望と権力の陰にあった告発
ブラジルのアバジアニアに、人々が「奇跡」を求めて集まります。施設の影響力が広がる一方、性的虐待の訴えが重なり、関係者の証言と捜査によって実態が明らかになっていきます。
全4話の内容と見どころ
第1話「霊媒医」
支持者たちの体験談や、施設が大勢の人を引き寄せた背景を紹介します。
第2話「スキャンダル」
経済的・社会的な影響力が大きくなる一方、被害の訴えも明らかになります。
第3話「裁判」
声を上げる被害者たちの証言と、責任を追及する動きが描かれます。
第4話「正しい裁き?」
娘を含む関係者の証言や、裁きを求める人々のその後を追います。
第1話を観た感想:信じる人が集まる理由
『心霊治療』『心霊手術』をめぐる話に最初は半信半疑でした。第1話は、大勢の人が治療施設を訪れる理由と、そこで希望を託した人々の姿を描きます。ただし、作中で語られる治癒体験は本人の証言であり、医療上の効果が立証されたことを意味しません。
この作品は「心霊治療」「心霊手術」を施術する霊媒医のジョン(本名ジョアン・デシェーラ・ジ・ファリア)の光と影を明らかにしていくという興味深い作品。ドキュメンタリータッチで何人もの証言者が出演。
これがリアリティーを我々に感じさせてくれる。また当時実際に撮影されたVTRやこの作品のために新しく撮影されたシーンを織り交ぜながらの映像も説得力がある。特に第1話では、主人公である霊媒医ジョンの光の部分が大部分を占めている。
ブラジルのゴイアス州にある小さな町アバジアニアに世界中から人々が訪れ、長蛇の列をなしている映像は「凄い!」の一言。来訪者の一人は、医学的には確認の必要な治癒体験を語っています。作中の証言では「不治の病でも何千という患者が一日の治療で治るんだ」と。
傍から見ている人間にとっては「インチキ」としか思えない彼の施術も、藁にもすがりたい患者さんたちには希望の望みだろう。そして実際に患部が治ったという人たちのインタビューになる。ピックアップされた何人かがいかにジョンのおこなう心霊治療が素晴らしいかを語る。例えばそのうちの1人、アンジェラ・ホマーシェの話によると、彼女は脳腫瘍があり、視力も失い、医師からは「余命40日程度、家族にお別れの挨拶をした方がよい」と勧められたと。
治癒体験の証言と医学的な検証は別
こんな話を聞くだけでショック過ぎるだろうが、本人はその運命を受け入れていたのかもしれない。しかし、家族は彼女を死なせたくない一心で霊媒医ジョンのところに連れて行く。彼女に対するジョンの施術は衝撃的。モザイクがかかっていたので直接は見えないものの、見ている方が思わず「痛いっ」と口走ってしまいそうだ。
施術中に痛みを感じなかった、帰宅時には自分の足で歩けたという証言も登場します。こうした体験談が人々の希望を集める背景は理解できますが、治療の有効性は独立した医学的な検証とは分けて考える必要があります。
証言だけでは何が起きたのか断定できません。このようにジョンの素晴らしさを語る人たちが数名出演。次に心霊治療を別の角度から解説。歴史学者で伝記作家のマリア・マチャードによる解説が紹介される。なぜブラジルで心霊治療が流行ったのか、その原因は何か、ジョンがどのように考えて治療施設を作ったのかなど、とても興味深い。
地元の経済と告発の重さ
NHKの番組『ダークサイドミステリー』、『幻解!超常ファイル』などが好きな方は、彼女の解説は非常に面白いだろう。さらに経済の観点から、ジョンの施設が作られたアバジアニアの元町長であるブラス・コンティージョの話。ジョンが自分たちの町に施設を作れば、来訪者が増えることで地域経済にも大きな影響があったと語られます。この辺まで来ると欲が絡んできて、「ああ、悪い方向へ走って行くんだろうな」と思えるのだ。
やはり終盤ではジョンの影の部分と言うか、闇の部分と言う方が近いと思うが、彼の闇の部分の証言が語られる。私だけでなく、多くの視聴者も「やはりな」と思える証言だ。第1話はジョンの輝かしい功績(それが真実であれ偽りであれ)がほとんどだったが、彼の闇とはどのようなものだったのか、そして彼はどうなるのか、彼の信者は?と2話以降の興味は尽きない。
私が考えたこと
強い苦しみを抱える人にとって、希望を与える存在は大きな意味を持ちます。一方で信頼や権威が集中すると、被害を訴えることが難しくなる場合があります。「奇跡が起きたかどうか」と「人に対する行為の責任」は別々に検証しなければならないと感じました。
