水原希子『彼女』ネタバレ感想評価。さとうほなみ共演!YUIのCHE.R.RYやノラジョーンズの曲がほっとさせる!

映画
『彼女』日本公開年月日:2021年4月15日
恋のために人を殺した女と、殺させた女。“彼女”たちの行き場のない逃避行を描いたロードムービー。廣木隆一監督作品。水原希子、さとうほなみ 主演。★★★★☆


 

『彼女』キャスト

  • 水原希子
  • さとうほなみ
  • 新納慎也
  • 田中俊介
  • 鳥丸せつこ
  • 南 沙良
  • 鈴木 杏
  • 田中哲司
  • 真木よう子

『彼女』あらすじ

 裕福な家庭に生まれ育ち、何不自由ない生活を送ってきた美容整形外科医の永澤レイ(水原希子)。レイはバーで誰かを探し、探し当てた男に酒を振る舞い、彼のマンションへ。そしてベッドに入った彼女は、彼の首に持参したメスを突き立てる……。  

その前日、パートナーの美夏(真木よう子)の誕生日を祝っていたレイは、高校時代の同級生・篠田七恵(さとうほなみ)からの電話を受ける。当時、思いを寄せていた七恵から10年ぶりに「これから会えない?」と呼び出されたレイは美夏を残し、彼女が待つホテルへ向かう。ぎこちなくも再会を喜ぶレイだったが、全身あざだらけの七恵の姿を目の当たりにし愕然とする。

七恵は夫からのDVで「死」をも覚悟していた。そんな彼女にレイは、七恵が死ぬなら、彼女の夫が死ぬべきだと諭す。すると、「だったら殺してくれる?」と七恵。  男を殺したのは、七恵に生きてほしいがためにレイがくだした決断。その後、当てもなく彷徨うレイを車で追いかけてきた七恵に、「もう誰もあんたを殴らない!」と笑顔を向けるレイ。行く場所も、戻る場所もないふたりは共に逃避行に出るが……。公式より引用

『彼女』ネタバレ感想

※『彼女』はアダルトな描写やDV、暴力的なシーンや大量の出血を伴う殺害シーンが含まれます。また、同性愛を描いた作品ですので、これらが苦手な方は注意してご覧ください。

 

漫画『羣青』を実写化した『彼女』

繁華街にあるクラブで男を誘い、男の自宅を訪れた『レイ(水原希子)』が、大胆な濡れ場シーンから男を惨殺するところから話は始まります。殺害された男は、学生時代にレイが思いを寄せていた『七恵(さとうほなみ)』の夫で、七恵はこの夫から長年DVを受けていました。

 同性愛者であったレイは学生時代、密かに思いを寄せていた七恵が万引きする所を目撃してしまいます。店員に追われ逃げる七恵を追うレイ、店員に捕まり転倒したことがきっかけで七恵は怪我をします。スポーツ推薦で在学していた七恵の家は貧しく、まともな治療やリハビリも望めない事から退学を決意。

しかし、七恵が退学する事が嫌なレイは「学生生活を私が買い取るよ」「5年で返せなかったらヤらせてよ」と、300万円で取引をします。その後「5年もかからなかった」と、喫茶店で300万円をレイに返済した七恵は全額支払おうとしたレイに割り勘でいいと伝えると、550円を受け取り「もう会う事はないから」と店を出ていきます。

10年後、レイは美容整形外科医として働きながら学生時代から交際していた『美夏(真木よう子)』と同棲生活を満喫。幸せであるはずのバースデー、浴室でキスをするレイの電話が鳴ります。10年ぶりの連絡に戸惑いつつも、思いを寄せていた相手である七恵からの呼び出しに、レイは車を走らせます。

この映画で数々登場する車を走らせるシーン。

 時にはテールランプが眩しい高速道路だったり、また広大な海の上を永遠に続く真っ直ぐな一本道だったり。これらのシーンには、一般的な『ちょうどいい』カットが少なく、空から撮影したような遠い映像かドアップかで統一されています。

これは監督である廣木隆一さんの「引きの映像から急に顔に寄る事で、ドキュメンタリーのような臨場感を感じてほしい」というコンセプトによるものだそうで。喜怒哀楽の変化が激しい主人公二人の感情表現は、このこだわりが強く生きて『殺人犯が逃げる』という単調な話を、人間臭く生々しい映画に仕上げているポイントだと思います。

 高級ホテルの一室に到着したレイに、夫のDVを告白した七恵は「旦那が死ぬか私が死ぬか…」と逃げ道がない現状を相談します。

七恵を守るためわざと証拠を残し殺害し、

全ての罪を一人で被るつもりで現場から離れたレイでしたが、七恵はそんなレイを迎えに。ここから二人の逃亡生活が始まります。「もう誰もあんたの事は殴らない。蹴らない。」そう満面の笑みで楽しそうに話すレイの隣には、DVから解放されて自然体の笑みを見せる七恵。

二人は、過去DVで七恵を苦しめ続けた寝たきり状態の父に別れを告げたり、この先の死に方について語ったりと楽しい時間を過ごし、七恵が育った実家に向かいます。そこで見つけた懐かしいトロフィーを見ながら学生時代の記憶を思い出し、レイは翌日自首をすること決意。

翌朝、七恵の実家を出ると警察官に呼び止められとっさに逃亡します。『最後の晩餐』が残っていたからです。二人は新聞配達のバイクを盗み警察官から逃れますが、そんなバイクもガス欠に。近くにあった定食屋に入り食事を楽しんでいると、七恵はとある男に声をかけられます。バイクを盗んだ時に靴を落とした七恵をほっておけないと、親切心から駅まで送ってくれたタクシー運転手である『秋葉(田中哲司)』。二人は次の電車まで仮眠をとることにしました。

 レイと七恵の逃亡生活は決して暗く辛いものではなく、二人の『今の瞬間を楽しみたい』とう気持ちがよく出ています。しかし、楽しい中にも彼女たちなりの気持ちがあり、感情があり、時にはすれ違い疑い喧嘩し、わかり合っていく中で確信に変わる思い。複雑でありながらもシンプルなその気持ちは、見ている私達にも共通する部分があって目を背けてしまいたいようなシーンでも、不思議と心では納得する自分がいました

駅で電車を待ちながら仮眠をしているところ

秋葉は酒を持って現れます。七恵が眠る中、秋葉は話を聞く素振りを見せながら徐々にレイに近づきます。「綺麗だね、髪」と髪に触れながら、自身の下腹部を触らせ「結構好きな方でしょ?」とレイを誘う秋葉。

そのまま二人はタクシーの中で行為に及び、レイはお金を受け取ります。七恵の夫を殺害するために処女を捨てたレイ。愛する七恵の眠る近くで会ったばかりの男性と行為に及んだからなのか、はたまたお金を受け取ったことで何か気持ちに変化があったのか…レイはぐっすり眠る七恵のそばで、美夏に電話で謝罪をし、美夏は別れを告げ電話を切りました。

これまで同性愛とは無縁だった私は、『彼女』のテーマが同性愛だと知った時「自分の中でこの映画が作品として受け入れられるかどうか」不安でした。しかし、それが『綺麗事』だったと思い知ったシーンが、この秋葉とレイのSEXです。何も知らない秋葉が、さも全てを理解したかのような言い回しでレイに近づく。そしてSEXし、金を渡す。「自分の欲求を満たし、金を渡したことで罪悪感から逃げただけ」と…。

男女のSEXは女性同士のものより見慣れているはずなのに、この作品イチ不快な感情になったこのシーン。この段階で、私自身が『同性愛』に偏見があったのだと思いました。それと同時に、レイや七恵そして美夏などの登場人物に感情移入している自分がいました。

夜が明け、二人はレイの父親が所有する別荘に忍び込みますが、ガラスを割ったことで兄に居場所がバレてしまい自首を進められます。そこで、レイには帰る場所があると知った七恵はタバコケースから300万円を返済した喫茶店のレシートと550円を取り出し見つめ、涙します。

自首をする旨と、七恵を守るため「私がここまで連れ回したことにする」と伝えたレイに、七恵は「私の時は逃げたくせに」と挑発的な態度をとります。そこから殴り合いの喧嘩に発展し「あんたとは関係ないところで生きていく」と七恵は部屋を出ていくのですが、冷静になったレイがタバコケースの中にあったレシートとお金を見つけ自分の気持ちに素直になったことで二人は再度逃げる決意をするのです。

この時の逃亡を手助けしてくれたのは

レイの兄嫁である『悠(鈴木杏)』。気が強く、怖い印象でありながらも、まっすぐで何より『大切なものは何にも代えられない』ことをわかっている女性です。レイの覚悟を感じとり、二人に車と財布を渡しました。もちろん兄は二人を逃がしたことを責めましたが、悠は「あんた、誰のためにやったら人殺せる?」と逆に問います。

兄のように、ちゃんと目を見て話したら何とかなるという考え。それは絶対的な『正解』で『模範解答』だと思います。「なんでそんな極論なんだよ…」と思ってしまう気持ちも、『普通』の家で『普通』に育って、『普通』の生活をしているからこその『普通』の感情だと思います。人を殺した理由こそわからない悠ですが、愛する旦那がいて子供たちがいる悠は「うち、人殺せるよ。誰にとめられても、あんたやガキのためだったら」と迫真の演技で語ります。

『理解できないことだったとしても、その人が本当に覚悟をし、決めたことを。』

この先に続く上手い表現が見つかりませんが…
この悠の思いが、言葉が、この作品の本質に繋がっているのではないかと私は感じました。

お互いの気持ちを確認し、覚悟を決めた二人は車を走らせながらラジオから流れる『CHE.R.RY』を熱唱します。ようやく思いが繋がった二人が、うろ覚えながらも大声で歌う初恋の定番ソング。これは急遽監督が発案し撮影されたシーンだそうですが、こんなにもピッタリな情景と心情を表す表現が出来るのはまさに才能です。

そのまま二人は海沿いの小屋にたどり着き、お互いの気持ちを確かめ合うかのように愛し合います。その後、朝焼けの海を見ながら語り合う中で、レイは警察に行く覚悟を決め別れの時を迎えるのです。

作品を見ていく中で、沢山の矛盾点や違和感。そして、この作品を見る前と見た後で変化する私自身の感情にとても戸惑いました。「同性愛が…」とか「人を殺すことが…」とか、最初はそんなテーマを予想していた作品でしたが、各登場人物が悩みながら心を通わせ決断するシーンの数々に、全く種類は違っていても自身の心の深い部分にある何かと共鳴してとにかく入り込んでしまった作品です。

AVに近いアダルトなシーンが多々あり、暴力的な部分も多く含まれる作品なので「絶対に見た方がいい!」というオススメはできませんが、これを見る事によって自分の中の何かが確実に変わる。そんな作品。
映画が2時間半程度と長めの作品ですので、ゆっくり一人の時間に見るのがオススメです。

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